知らないと建て替えできない!? – 空き家の売却で損しないためのチェックポイント ‐


不動産売却をする際、所有している物件はできるだけ高く売りたい。それは当然の感情だと思います。しかし実際に査定を依頼してみると思っているより金額が低かった、そんな場面は非常に多いです。
我々不動産会社はお問い合わせいただいた物件の金額を算出する際、その地域の土地の需要、土地の形、土地の傾斜、大きさ、地盤、そしてその物件が接している道路が建築基準法の認定道路のどの種類の道路に該当するのか等、様々な観点から物件の確認をさせていただいています。
そしてその調査を進めていく中で、物件価格が思うように伸びないことも多々あります。
今回は、物件価格を決める建築基準法の認定道路の種類にスポットライトを当てて、お話しさせていただけたらと思います。
”建築基準法の認定道路”という言葉、なんだか難しそうで、深く学ぶにはとても手を出しづらい言葉に聞こえます。しかし実際にこの道路の知識を身に着ければ、お客様のお住まいの物件の理解を深められるだけではなく、不動産会社と取引する際もより円滑に、そして少しでも高い金額で売れるようになることにつながります。つまり、得がある、そんなお話を本日はさせていただきます。
そもそも建築基準法とは??

「建築基準法とは」
建物の敷地、構造、設備、用途に関する最低限の基準を定めた法律です。
もう少し簡単に言うと、建物を「安全・快適に建てるための最低ルール」を定めた法律です。
では建築基準法の認定道路とは、それはもうそのままの意味で「建物を安全に建てるルールがある中で、そのルールをちゃんと満たしている」と認められた道路になります。
日本の法律では、「何か建物を建てる際にはこの建築基準法の認定道路に2m以上接している土地にしか建物は立ててはいけないよ、それ以外の土地に建物を建てたら法律違反だからね」と取り決めがされています。
建築基準法の認定道路の種類

建築基準法の認定道路には主に7種類あります。
- 1項1号道路
 - 1項2号道路
 - 1項3号道路
 - 1項4号道路
 - 1項5号道路(位置指定道路)
 - 2項道路(見なし道路)
 - 但し書き道路
 
急にたくさんの漢字と数字が出てきて混乱する方もいらっしゃるかもしれませんが、気を確かに持ってください(笑)
聞きなれない言葉たちですが、意味はすごくシンプルですのでご安心ください。
まず1‐5番までの、1項1号道路ー1項5号道路(位置指定道路)の5種類は道路の幅、すなわち
道路幅員が4m以上ある道路になります。
4m以上っていうのはだいたい車1台が余裕をもって通れるくらいの幅の道路ですね。
道幅がしっかりある道路は安全性も高く、逆にもし幅員が1mしかない道に建物が建っていたら火事になった際、消防車どころか給水ホースをもって消防士さんがその道を通ることさえままならないですよね。
だから安全性を担保するために、建物は原則、幅員4m以上の道路に2m以上接道していなければならない、という建築基準法のルールがあるわけです。
| 1項1号道路 | 誰でも通れる、幅員4m以上が基本(国道・県道・市道など) | 
| 1項2号道路 | 都市計画法の道路 | 
| 1項3号道路 | 昭和25年以前からある道路 | 
| 1項4号道路 | 市町村長が建築可能と認めた道 | 
| 1項5号道路(位置指定道路) | 行政(都道府県・市町村)が特別に建築を認めた | 
2項道路について
先程、建物の建築、増築改築を行うためにはその土地が幅員4m以上の道路に接していなければならないと説明させていただきましたが、2項道路は例外になります。つまり4m以上の道路幅員が無くても建物が建てられるわけです。
しかしその認定を受けるには条件があります。そのうち重要な要素となるのがセットバックです。
★セットバック
こちらは前面道路が道路幅員が4m未満の場合は、道路から敷地までの距離が4m確保されるように建物を建てなさい、という取り決めです。
これには2パターンあります。
①道路の両端に建物がある場合
→両端の建物がお互いに道路の中心線から2mの距離が生まれるように建物を建てる、という取り決めです。こうすれば建物同士の距離は確実に4m以上確保されます。
例)前面道路の道路幅員が2mだった場合、1mのセットバックが必要

②道路の向かい側が川や崖、線路という場合
この場合は向かい側の敷地がセットバックできないため、向かい側の道路の端から4m以上のスペースを確保した部分からしか建物は立てれません。
例)前面道路の道路幅員が2mだった場合、2mのセットバックが必要

但し書き道路について
こちらも2項道路同様に特別な仕様の道路になります。
概要:建築基準法上の道路に接していなくても、審査を経て建築を許可する制度。
ポイントとしましては、敷地が道路に2m以上接していなくても審査が通れば建築可能になる点です。
要するに、前面道路が建築基準法の条件を満たしていない道路だけど、建築改築増築をする際はその都度審査をその土地がある場所を管轄する特定行政庁に出して、許可が下りれば建築が可能になる、ということです。

まとめ
今回は一見ただの道路に見える身近な道にも、様々な種類がある、というお話をさせていただきました。そしてこの前面道路の種類によって土地の価値は大きく変動します。
お客様の道路が一体何の道路種別に分類されるのか、そしてその道路が土地の価格をより高くするのか、それとも安くさせてしまうのか、はたまた不動産会社では買取不可となってしまうのか。その点に関しては我々プロの目で調査をすることでしか知ることはできません。
そしてもちろん、お客様の土地がどの道路に該当するのかを正確に把握することは非常に重要です。
弊社では、現地調査や法務局・役所での確認を通じて、専門的な視点から正確な道路種別を判断し、最適なご提案をさせていただきます。
お客様の大切な不動産の価値を正しく見極めるためにも、ぜひ一度スグウルにご相談ください。
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